信州大学医学部第二外科

心臓血管外科部門・乳腺内分泌・呼吸器外科部門のスペシャリスト、
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お知らせ

Dr.オバマのOne Voice

2013.02.01

肺部分切除に思う。 -獅子搏兎(ししはくと)-

呼吸器外科で行う肺切除は、切除量の大きい順に、片肺全摘、葉切除、区域切除、部分切除に分類することができます。肺部分切除は、肺の表面近くにある小型の病変に対して、できる限り切除する肺の量を少なくするために行われる縮小手術の一つです。

 

この肺部分切除と他の術式を比べると、術者側としては、肺の中心部で血管や気管支を処理する必要がない場合が多く比較的容易であると言えます。患者さんにとっては、切除する肺が少なく、概して手術時間も短いため、術後の負担が軽度で術後合併症の危険性も低いと考えられます。したがって、経験の浅い外科医が最初に経験する、いわゆる「入門」の術式の一つでもあります。そして、経験を積んだ医師にとっては、ついつい「油断」をしてしまいがちな術式であるとも言えます。

 

大学病院という特性もあり、比較的「大きな手術」「難しい手術」を行うことが多いですが、「小さな手術」「簡単な手術」である部分切除の頻度も決して低くはなく、最近では先週、今週と続けて部分切除を行う機会がありました。

 

部分切除は「小さく」「簡単な」手術かもしれませんが、いびつな切除により残った肺に変形が生じたり、切除線の近くで肺が裂けてししまったり、不十分な切除範囲により残った肺に再発を生じることがある・・・など、十分に注意して手術を行わなければ、様々な合併症、不測の事態を招く可能性があります。

 

獅子搏兎(ししはくと)という言葉があります。ライオンはウサギのような弱い動物を捕まえるのにも全力を尽くす。簡単と思えることにも、決して油断することなく、全力を尽くして行うべきである。

 

百獣の王であっても常に自分に厳しく鍛錬すべきととらえることも出来るし、自らがおかれた「立場」あるいは自らの「生」そのものに誠実に生きるべきである考えることも出来ます。

 

「小さな手術」「簡単な手術」を全力で行うことができなければ、「大きな手術」「難しい手術」で必ずボロが出る。私たちは「外科医」として、「手術を行うこと」を誇りに思い、どんな手術であっても「誠実かつ全力で」立ち向かわなくてはならないと、改めて思うのです。